はじめに
jit.gl系の画面出力にポストプロセスのエフェクトをかけられるjit.gl.passですが、ビジュアルプログラミングであるMaxにおいて、ほとんどパッチングをしないで高度な処理が走ってしまうため理解が難しい存在だと思いました。そんなjit.gl.passについて調べた結果をまとめておきます。
jit.gl.pass に対する様々な疑問点
jit.worldのコンテキストを設定するだけで、なぜレンダリング結果に対してポストエフェクトを掛けられるのか?
ソースは見つけられないのですが、GLSLの機能であるFBO(Frame Buffer Object)を使って一度ポストエフェクトを掛けない状態で3Dモデルやライティングを考慮したレンダリングした結果に対し、ポストエフェクトを掛けているんでしょう。(ソースが無いけど)そういうオブジェクトだから・・・みたいに理解しておきました。
DOFで深度を使えるの?
jit.gl系を触っていて3DモデルのZバッファや深度情報を直接取得する方法は見かけた事がなかったのですが、jit.gl.passのfxサンプルの中には被写界深度エフェクトのように明らかに奥行き情報を使わないと掛けられないエフェクトが入っています。どうやってるのでしょうか。
ここはjit.gl.passのリファレンスを見ると、受け渡しできるテクスチャ NORMALS のなかに アルファチャンネルにdepth画像が入れられるよと書いてあります。3Dモデルなどを一度レンダリングして画面全体の絵をつくり、その時に利用した深度マップもポストプロセスに出力してくれるという事でしょう。
DoF(Depth of Field) jxpをみてみよう
jit.gl.pass のプリセットエフェクトである dof.jxp のXML定義を見ると
最終段階の mrt.dof.jxs にNORMALSテクスチャを渡しています。
さらにmrt.dof.jxsを見てみると
受け渡されたnormal テクスチャの 4番目 wチャンネルを参照して被写界深度エフェクトを掛けています。
ポストプロセスにおける Vertex Shader について
上記の jxp ファイルを見ると一つのDoFを実現するためにも複数のエフェクト(.jxs)を重ねがけしているように見えます。このエフェクトは画面全体のフラグメントシェーダー上の操作ではあります。ただここで .jxs ってVertex Shader も含まれてなかったっけ?という疑問が湧きました。
.jxsのソースをみると sh.passthru.xform.vp.glsl というVertex Shaderを参照しています。つまりjxpで複数のjxsを通過する際に毎回 vertex shaderも通っているということですね。
sh.passthru.xform.vp.glsl のコードを見てみると
ほとんど何もしないようなシェーダーになっており、受け渡しているだけです。
こういったパススルーするVertex Shaderを利用していればほとんど意識しないでフラグメントシェーダーの事だけ考えれば良いと言えそうです。
少し余談ですが jit.gl.slabも似たようなフラグメントシェーダーのみを対象としたシェーダーオブジェクトです。こちらもjxpと同様に何もしないVertexShaderのGLSL330 versionが書いてあるので新しいgl-coreの場合はこちらの方が参考になります。
genjit を読み込んで使えるらしい?
jit.gl.passのリファレンスを読むと、genjitも読める?的な事が書いてあり、色々試してみたんですが、genjitファイルをそのままは読めませんでした。jit.gl.pixから一旦.jxsを生成したら読み込むことはできました
- jit.gl.pixをexportcodeして.jxsを生成
- .jxpにfile=***.jxsのsubpassを追記
- jit.gl.passで.jxpを読み込み
paramも.jxsで定義してあれば、jit.gl.passに通ります。上記の画像は edge抽出シェーダーの後にjit.gl.pixで書いた四分割シェーダーをjit.gl.passで書いてみたサンプル画像です。
まとめ
jit.gl系オブジェクトの中で一番難解だと個人的に感じたjit.gl.passへの理解が深まり、Jitterにおけるレンダリングパイプラインの概要が掴めたような気がします。次回の記事ではその辺りをまとめてみたいと思います。